斎藤ホテル [長野県・鹿教湯温泉]

　三才山トンネル開通で軽井沢と松本が短時間で結ばれ、新幹線が長野を東京の通勤圏にする
時代の鹿教湯温泉のあり方や、少子高齢化時代のホテルのあり方などを広く深く研究した経営
者は、来るべき個人旅行主流時代に対応できるコンドミニアムホテルを建設した。
客室の約５０％は、いわゆる温泉邸宅。そのいくつかは所有権者と契約のうえ、ホテルとして
活用されることもある。
　リピーターが８０％をこえる小規模旅館や超低料金ホテルは珍しくないが、１２４室のホテ
ルのそれが８５％をこえるのは、今日では会員制ホテルや一部の国民宿舎や休暇村などいくつ
かにかぎられる。滞在するほど宿泊料金が安くなる『４泊５日の“ホテルで湯治”』に象徴さ
れるように、「独自の商いシステム」に基づく投資と、顧客満足度が極めて高いおもてなしの
成果であろう。

　客室は、中央部のアトリユウムを囲んで２階以上にロの字型に配置され、１階
以下の賑わいや喧騒と隔絶されている。窓越しに季節の移ろいをめでる無為の時
間は、まさに安穏。大小宴会場はない。健康によい地産地食の旬の食材を生かし
た１階ビュッフェレストランの約４０種の和洋中料理はおいしく、滞在客にも飽
きられることはない。
　お客さまと働く人のダイアログ（対話）が多くなければ、リピーター率８５％
は達成できない。規模の割に働く人は少数で、１階以下に配置されている。
フロントやレストランなどのおもてなしは笑顔にあふれ、純朴。プールやジムの
「温泉利用指導員」「トレーナー」が作成する顧客の体力データは継続的に活かされる。奈良井宿や上高地などまで足をのばす
「斎藤駕籠屋」「自然塾」添乗のホテルスタッフやネイチャーガイドが、その行程でお客さまと交わす対話が、どれほど多くの
リピーターやファンを創っているかはかりしれない。

客室数１２４室（ホテル６２室　コンドミニアム６２室）
大浴場　露天風呂　温泉プール　ジム　車椅子対応　外客対応　夕食・朝食：ビュッフェレストラン

●東京方面から：長野新幹線上田駅　送迎バス13:30発
　名古屋・大阪方面から：中央本線松本駅　送迎バス13:30発